豊かな恵みのある2つの海峡

豊かな恵みのある2つの海峡

速い潮流を生み出す海峡は魚の宝庫

 

島国である日本は、四方を海に囲まれている。従って、海に面している都道府県は多いが、2つ以上の海に面している県は実はあまり多くはない。
兵庫は数少ない2つ以上の海に面している県の一つで、北は日本海、南は瀬戸内海と太平洋に面している県。南北55kmの淡路島を始めとする島々を有し、海の恵みに触れる機会は非常に多い。
なかでも淡路島の北と南にある2つの海峡の存在は欠かせない。
淡路島は、日本がいかにつくられたかという「国生み神話」に登場する島。日本最古の歴史書によると、2柱の神様が日本で一番初めに生み出したとされている。この島の北にあるのが幅4kmの明石海峡、南にあるのが幅1.3kmの鳴門海峡だ。

 

海峡は海底の地形が深くえぐられて複雑なところが多く、潮の流れも速くなる。そのため多様な魚のエサが集まり、豊富なエサを食べて育った魚も速い潮流にもまれ、身がしまりうまみの強い魚が育つ。
この2つの海峡周辺は日本有数の漁場としても知られており、ここでとれた魚は絶品! かつ、この2つの海峡は他には代えがたいダイナミックな体験ができる場所でもあるのだ。

 

明石でとれた魚をつかった寿司は絶品! 画像提供:(一社)明石観光協会

 

明石の人気商店街で海の幸を食べ歩き

 

2つの海峡をめぐる旅は、明石からスタートしよう。
明石は瀬戸内海に面した街。明石駅から徒歩10分ほどには明石港があり、港で水揚げされた魚は近くの市場でセリにかけられる。セリは一般的には早朝に行われるイメージが強いが、明石では昼の市が有名だ。ここでは生きたままの魚が売買されるうえに、仲卸業者を介さず直接小売店が競り落とすため、その魚は新鮮! 港と市場と小売店が近い明石ならではの仕組みだといえるだろう。

 

この昼の市でせりにかけられた魚は「昼網」と呼ばれ、近くの「魚の棚商店街」で買うことができる。400年近い歴史を持つこの商店街は、全長350mに約110店の店舗が立ち並ぶ商店街。名前の「魚の棚」とは、かつて魚商人が軒先に置いた大きな板に魚を並べ、鮮度を保つために水を流していた様子からきているそうだ。

 

年末年始には魚の棚商店街に大漁旗が飾られる。大漁旗とは、大漁だったことを港で待つ人に伝えるために漁船に掲げられた旗のこと。

 

新鮮な海の幸や、魚のすり身を焼いたり揚げたりしてつくる練り物などさまざまなお店が並ぶが、ぜひ味わいたいのが名物・明石ダコが入った明石焼(玉子焼)だ。明石のタコの漁獲量は日本一で、タコをとるために使われていた約2000年以上前のツボが発見されるなど、その歴史も古い。明石焼は、小麦粉や卵などが入った生地にタコを入れてボール状に焼き上げたものをダシにつけて食べる明石の郷土料理。トロリとした生地とタコ、ダシの風味が一体となって、あっさりといくつでも食べられてしまうおいしさだ。

 

アツアツの明石焼は風味の良いダシにつけて食べる

 

また、同じく名物といえば明石鯛。日本では鯛は「魚の王様」と言われ、お祝いのときに登場することの多い魚。速い潮流のなかで育った明石の鯛は身が引き締まり、鯛のなかでも格別のおいしさだと言われている。ランチで鯛を使った料理を提供する店もあるので、そのうまさを味わってみてほしい。
ほかにも魚の棚商店街では、明石ダコをプレスしてつくるぺったん焼きなど、その場で食べられる日本ならではのグルメがあちこちで販売されている。商店街を歩きながらいろいろな味にチャレンジしてみよう。

 

魚の棚商店街でお腹を満たしたら、明石海峡大橋へ。車を走らせていると、車窓から大きなつり橋が見えてくるはずだ。明石海峡にかかる全長3911mのこの橋は、つり橋としては世界第2位の長さを誇る。

 

明石海峡大橋の雄大な眺め ©KOBE TOURISM BUREAU

 

この橋のたもとには公園が整備され、間近で巨大な明石海峡大橋を見ることができるが、より明石海峡大橋の迫力を体感するなら、舞子海上プロムナードへ行こう。明石海峡へ突出した延長317mの遊歩道で、ガラス張りの床面から47m下に明石海峡を見ることができる。スリル満点の景色が楽しめるはずだ。

 

舞子海上プロムナードのガラス張りの床 ©KOBE TOURISM BUREAU

 

鳴門海峡が育んだ海の幸を堪能

 

明石海峡大橋を渡ったら、そこは淡路島。淡路島は車で3~4時間ほどで1周することができるので、コンパクトに観光が楽しめる。
おすすめしたいのは淡路島の南にある「沼島」という小さな島。冒頭でも紹介した「国生み神話」によると2柱の神様が混沌とした下界をかき混ぜて、落ちた雫でできたのが「おのころ島」で、この島を拠点にして、淡路島を筆頭に日本をつくっていった。この「おのころ島」が沼島だとされているのだ。
沼島では地元の漁師が漁船で島の周囲10kmを1周する「おのころクルーズ」が楽しめる。島にある神秘的な巨石や奇岩を海から眺めてみよう。

 

また沼島付近の海底はやわらかく、鳴門海峡の速い潮流によって、肉質の良いハモが獲れることでも有名だ。ハモは日本では高級食材として知られ、特に初夏のハモは絶品。淡路島特産の玉ねぎも使った「ハモすき」は沼島や淡路島で食べることができる。

 

ハモすきは、脂がのっているハモと玉ねぎ、ダシの甘みが相性抜群

 

同じく夏の名物といえば、淡路島の南東、由良港でとれる赤ウニがある。市場に多く出回らないため「幻のウニ」とも言われ、濃厚なうま味と甘みをもつ。通常ウニは背側を見せるように盛り付けられるが、鮮度がよいことから由良の赤ウニは腹側を見せて盛り付けるのが特徴だ。
冬に旬を迎えるのは、淡路島の南、福良港で良好な海域環境を生かして養殖された「淡路島3年とらふぐ」。一般的に2年で出荷されるトラフグを3年間養殖したもので、濃厚で身のしまった味わい。鍋やお刺身、唐揚げなどで楽しむことができる。
同じ福良港では「サクラマス」も養殖。こちらは春しか食べられない魚で、ねっとりとした上品な甘みがある。きれいなピンク色の身で、刺身にして丼にしたり、フライにしてバーガーにしたりと幅広い味わい方がある。
いずれの海産物もそのおいしさの根幹は、豊富なエサと速い潮流という恵まれた環境が揃う鳴門海峡。ぜひ自分の舌でそのおいしさを確かめてほしい。

 

新鮮でリーズナブルなサクラマス

 

淡路島での宿泊は、島最大の温泉地である洲本温泉へ。淡路島の中部にある温泉で、海岸線ぞいに宿が立ち並ぶ。洲本温泉のお湯は肌がしっとり滑らかになり湯冷めしにくいのが特徴で、海面に照らされて昇る朝日を眺めながらお風呂を楽しむこともできる。

 

淡路夢泉景のインフィニティ風呂

 

自然が生み出す不思議を体験!世界最大級のうず潮

 

翌日は2つめの海峡、鳴門海峡へ。うず潮を見に行こう。
うず潮は海水の流れが複雑に入り組んだ場所で発生する自然現象。鳴門海峡のうず潮は世界最大級の大きさで、最大時には直径20~30mになることもある。
うず潮を間近で見るなら、福良港から出ているクルーズ船が便利。うず潮が発生するスポットのすぐ近くを通過するので、大迫力の景色が楽しめる。海面がうねり、渦巻きが発生するその様子を見ると、自然の雄大さ・奥深さを感じずにはいられないだろう。

 

うず潮は潮の満ち引きによって発生し、うず潮を見られない時間帯もあるため要注意。

 

うず潮見学を終えたら、腹ごしらえを。「道の駅うずしお inうずまちテラス」は、大鳴門橋を渡る手前、鳴門海峡を見渡せる場所に建つお店。眼前に広がる大パノラマの景色を堪能しながら、玉ねぎなど淡路島産食材をふんだんに使用したハンバーガーが食べられる。お土産物も豊富に販売しており、店オリジナル商品は約100種類。お気に入りの1品が見つかるはずだ。

 

淡路島の名産・玉ねぎが主役のハンバーガー。

 

車で大鳴門橋を渡り終えたら、次は歩いて橋を渡ってみては? 大鳴門橋遊歩道「渦の道」は車道の下につくられた全長450mの遊歩道。海上45mの位置にあり、一部の床はガラス窓になっているため、まるでうず潮の上に立っているような気分に。展望室は絶好の記念撮影スポットになっているので、記念の1枚を撮ろう。

 

うず潮を眺めながら海上散歩を楽しもう

 

●魚の棚商店街
https://www.hyogo-tourism.jp/spot/0300

 

●明石海峡大橋
https://www.hyogo-tourism.jp/spot/108

 

●舞子海上プロムナード
https://www.hyogo-tourism.jp/spot/90

 

●ひょうごフィールドパビリオン:沼島おのころクルーズ
https://expo2025-hyogo-fieldpavilion.jp/program/5

 

●洲本温泉
https://www.hyogo-tourism.jp/spot/0856

 

●うずしおクルーズ船 咸臨丸
https://www.hyogo-tourism.jp/spot /923

 

●道の駅うずしお inうずまちテラス
https://www.hyogo-tourism.jp/spot/948

 

●大鳴門橋遊歩道「渦の道」
https://www.uzunomichi.jp/

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