ハートあふれるまちに浸る旅
兵庫県の中央に位置するハート型の町・神河町。
神河町にある寺前駅。姫路駅から和田山駅(朝来市)を結ぶ播但線の中間・普通列車の乗り換え地点で、特急はまかぜの停車駅でもあります。姫路方面から竹田城や城崎温泉に向かう際の通過点になっています。
今回取り上げる寺前駅周辺もまた、都会の喧騒から離れ、ゆったりとした雰囲気の漂う場所です。この寺前駅周辺で、旅の途中にひとやすみして、悠々自適なペースで地域を体験する、スローな旅を楽しむのはいかがでしょうか。
今回は、神河町出身である私を含め、普段は姫路の大学に通う学生3人が、のどかな神河町で癒しの時間を過ごしてきました。私たちが感じたことも交え、列車旅の合間に一息つける周辺のカフェを紹介します。
兵庫県を南北に移動する旅行を考える際に、参考にしながら計画づくりを楽しんでください!
播但線寺前駅
レトロな駅舎の寺前駅。駅を出ると、自然豊かな田舎の風景が広がります。今回は、この寺前駅を基点に、周辺のカフェを巡ります。
(駅を出てすぐ左手には、神河町の名産品やマスコットキャラクター・カーミンのグッズが並ぶ「カーミンの観光案内所」もあります。)
駅を出て正面にある商店街に入ると、すぐ左手に喫茶 輪があります。(駅からは1分もかからないほどで、振り返ればすぐそこに駅が見えます。)
駅前の商店街に佇む「喫茶 輪」と緑に包まれた店内
店内は白い壁・木・緑のコントラストが美しい空間です。穏やかなジャズが流れ、心地よい雰囲気が漂っていました。
店主の浦上さんによると、店名の「輪」には「みんながつながる場所」という思いが込められているそうです。ここは、地元の方が集う場所でもあり、観光で訪れた方が立ち寄る場所でもある、みんなの居場所です。
喫茶 輪の名物メニューは「鉄板ナポ輪タン」です。鉄板の上に敷かれた薄焼き玉子の上にナポリタンが乗っています。ナポリタンのケチャップと甘めの薄焼き玉子の相性は抜群で、どこか懐かしく優しい味が染みわたりました。この名前はラジオDJのターザン山下さんによって名付けられたそうです。
「鉄板ナポ輪タン」
ナポ輪タンの後には、ドリンクをいただきました。どれも王道の喫茶メニューというようなレトロな印象でした。特に「ブルーハワイ クリームソーダ」
は夏らしいスカッとした風味で、旅の疲れを飛ばしてくれるような味わいでした。

左から「ハーブティー(ローズヒップ&ハイビスカス)」、「アイスコーヒー」、「ブルーハワイ クリームソーダ」
店主の浦上さんは、長年神河町観光協会に勤められ、地域の実情を知り尽くしていらっしゃいます。神河町について、知る人ぞ知るお話を聞くことができるかもしれません。
とても明るい方で、お話する中でこちらもエネルギーをいただきました。浦上さんの醸し出す、明るく安心感のある雰囲気。時間を忘れて神河町のあたたかい空気感を感じられる場所です。
店主の浦上さん。安心感を与えてくれる存在です。
商店街から西方向へ、役場を通って小田原川沿いへ向かったところに、Cafe ikoiがあります。(駅からはゆっくり歩いて10分程度です)
田んぼに囲まれた「Cafe ikoi」と秘密基地のような店内
店内は木のぬくもりを感じられる空間で、かわいらしい雑貨で彩られていました。カフェとして洗練された空気感の中にも、どこか懐かしくアットホームな雰囲気があり、とても入りやすい印象でした。
Cafe ikoiの魅力は、何といっても自家焙煎珈琲です。こちらでは、生豆を自家焙煎して1週間以内の新鮮な豆が使われています。それによって苦みを抑えたすっきりした味で提供できるそうです。クセのない透き通った味わいで、コーヒーの苦みが苦手な私もおいしくいただけました。
コーヒーなどのドリンク以外のメニューも様々で、トーストやランチ、スイーツもあります。メニューは開店当初から同じで、ご夫婦ふたりの手作りで変わらぬ味を提供されています。
ドリンクに加え、フード・デザートもいただきました。私はアイスココアとケーキセットを選びました。香ばしい風味が際立つアイスココアと、手作りのあたたかみを感じるケーキたちは、ゆったり過ごすにはもってこいのマッチングでした。
ちなみに一緒に行った友人が頼んだミックスジュースには、神河町産の人参・京くれないと国産りんごが丸ごと使用されています!
左から「神河町産ミックスジュース 」「コーヒー ikoiブレンド」「アイスココア」
左から「チョコムースとスイートポテトのセット」「ケーキセット」「ピザトースト」
私は、自家焙煎珈琲や手作りのメニューに加え、居心地のいい空間づくりにも強く魅力を感じました。
マスターにお話を伺う中で特に印象的だったのは、あえて「お客さんに声をかけ過ぎない」というこだわりです。その意識こそが、常連のお客さんも初めて訪れたお客さんにも、皆が入りやすい雰囲気につながっています。静かなオルゴールの音楽が流れる店内では、それぞれのテーブルでそれぞれの話に花を咲かせる光景が見られ、自然体でリラックスできる雰囲気とマスターの細やかな気遣いに心が満たされました。
将来のビジョンを「現状維持」と語るマスター。その思いは、地域の人も観光で訪れる人も…あらゆる人が気を張らず思い思いに過ごせる、おだやかな空間につながっていると感じました。
Cafe ikoi から道沿いに北へ少し進むと、水車公園の中に、Gelato&Cafe ひよこがあります。(駅からはゆっくり歩いて15分程度です。)
水車公園内にある「Gelato&Cafe ひよこ」。店内の壁にはかわいらしいひよこの絵も!
店内は白と木を基調としたシンプルでおしゃれな空間で、道に面した窓から見える神河町の美しい空や木々、小田原川が映える印象でした。
このお店では「地元のおいしいを発信する」をテーマに、様々なフレーバーのジェラートが提供されています。こだわりは神崎郡(神河町・市川町・福崎町)の食材を使うこと。地元の生産者の方と直接つながりを築かれており、「ひよこファーム」という自家農園でも食材を栽培されているそうです。
ジェラートはシングル、ダブル、トリプルの3種類から選べ、フレーバーの組み合わせも自由です。
地元の食材を使った個性的なフレーバーや、季節ごとの多様なフレーバーがあります。“推しフレーバー”を見つけることも楽しみのひとつです!
色あざやかなフレーバーの数々
この日私たちは、「山椒チョコチップ」「タズミの卵プリン」「ジューンベリーヨーグルト」「ゆずクリームチーズ」「コシヒカリ」「仙霊茶ミルクティー・ビーツパイナップル」をいただきました。
ジェラートの上にはかわいらしいひよころんが乗っています。
私の“推し”は「ゆずクリームチーズ」と「仙霊茶ミルクティー」の2つです。神河町の特産品であるゆず・仙霊茶が使われたフレーバーで、ゆずの酸味とくせのないすっきりとした仙霊茶の甘味がよく合う組み合わせです。
また、ゆずネードなどのドリンクや焼き菓子も販売されています。ジェラートとともにテイクアウトしたり、お土産として買って帰ったりしてもよいかもしれません。
お店を営むのは神河町在住の4人きょうだい。掲げるビジョンは、「ジェラートを特産品にし、ジェラートで人を集める」こと。ジェラートをとおして、人口や雇用の面でも持続的なまちをつくろうとする姿は、心落ち着く空間の中にも、フレッシュな雰囲気を与えていました。
地域への思いにあふれる4人きょうだい。神河町民として尊敬します。
美しい景色を眺めながら地元を味わうひとときは、まさに癒しでした。
今回は、神河町寺前駅周辺のカフェを3店舗紹介しました。おわりに、今回のカフェ巡りから、改めて神河町の魅力を考えてみたいと思います。
お店の方にお話を伺う中で、神河町の魅力を「自然」「きれいな水」と表現されることが多くありました。
実際に私たちも、お店に向かう道すがら、あるいは店内から、素朴で透き通った自然の風景を楽しむことができました。青空、澄んだ空気、川の清流…と、見渡す限りの自然に身を置く中で時間を忘れ、心が浄化されるような感覚になりました。
特に今回のルートに含まれる水車公園や小田原川沿いの桜の並木道には、青々とした夏らしい景色が広がっており、圧巻の眺めでした。私は普段からこの場所の風景を眺めるのが好きなのですが、季節ごとに、日ごとに、唯一無二の風景を見せてくれます。
春は桜が咲き乱れる風景、夏は青々とした緑の風景、秋は山々の紅葉が美しい風景、冬は雪の白さが映える風景…。四季折々の顔があり、さらに日によって空模様も様々です。
水車公園周辺に広がる四季折々の風景
みなさんが訪れる日にはどんな景色が広がっているのでしょう。
自然に満ちた神河町。ここはまさに、「日本の原風景に没入できる空間」であり、慌ただしい日常や時間を気にせずに、羽を伸ばせる場所なのだと感じます。
日常を離れた旅だからこそ、この神河町に立ち寄り、のんびりした時間を過ごすのはいかがでしょうか。
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<店舗情報>
■喫茶 輪
〒679-3116 兵庫県神崎郡神河町寺前31−3
・営業時間:8 :00-16 :00
・定休日:火曜日、水曜日
・寺前駅から徒歩1分程度
■Cafe ikoi
〒679-3121 兵庫県神崎郡神河町上岩3−2
・営業時間:8 :00-17 :00
・定休日:金曜日
・寺前駅から650m(徒歩10分程度)
■Gelato&Cafe ひよこ
〒679-3121 兵庫県神崎郡神河町上岩87−1
・営業時間:11 :00-16 :00
・定休日:火曜日
・寺前駅から1㎞(徒歩15分弱)
(2025年7月時点)