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最上の旅土産。有馬温泉の伝統工芸品「人形筆」と「有馬籠」-兵庫テロワール旅-

  • 摂津(神戸)
  • 体験・学び

私がレポートします!

稿
駿川裕司(有馬温泉観光協会青年部)テロワール研究員
男性
30代
兵庫県神戸市
温泉巡り、食べ歩き、茶道(裏千家)
有馬温泉で、創業70年の旅館「高山荘華野」を営んでおります。
有馬の温泉やお宿、街散策は魅力いっぱいでよく紹介されていますが、この度は歴史や伝統の面からも有馬を深く知ってもらい、みなさんが訪れるきっかけや観光の楽しみにしてもらえたらと思っています。

 


「兵庫テロワールlab.」テロワール研究員レポート
食や文化を味わい楽しみ、それらが生まれたルーツや背景を探り、受け継いできた人の想いや技術に触れる。大地の恵みを堪能する“兵庫テロワール旅”の情報を、現地で体感した「テロワール研究員」の視点でお届けします。

 

有馬温泉でしか手に入らない「人形筆」と「有馬籠」
土地ならではの伝統と文化を、旅の思い出に

 

 

「有馬温泉」は、神戸の中心・三宮から車で30分ほどと都会に近い温泉地ですが、日本最古の温泉の一つで、1000年以上の歴史を誇っています。
「有馬温泉」にはたくさんの名物がありますが、今回は、何百年にも渡って受け継がれてきた、有馬温泉でしか手に入らない2つの伝統工芸品を紹介します。

 

子宝授与の縁起物として450年もの歴史を誇る「人形筆」

 

 

一つ目は、「人形筆」です。
筆先を下に向けると、可愛い人形がぴょこんと飛び出すカラクリ筆。なんと、室町時代に生み出されたもので、450年以上もの歴史があります。
奈良時代、お子ができないことを嘆いた36代孝徳天皇がお妃と有馬温泉に逗留されたところ、めでたく懐妊され、お生まれになったのが有間皇子である日本最古の歴史書「古事記」に記されています。この故事にちなみ、1559年に神戸の伊助という筆職人が創作したのが「人形筆」だと伝わっています。
この由来と、可愛らしい人形が飛び出す様子から、子宝授与や安産の縁起物として、有馬温泉名物となっています。

 

『有馬筆ひょいと出たる言のはも 人形よりはめづらしきかな』
本居宣長が詠んだ歌も残っているんですよ。

 

 

そんな伝統ある人形筆。大正時代には何軒も工房があったそうですが、今では「灰吹屋 西田筆店」1軒だけです。
「灰吹屋 西田筆店」は温泉街のメイン通り、湯本坂にあります。
お店に入ると色とりどりの人形筆が並び、陳列台の向こうでは、6代目の西田健一郎さん・明子さんご夫婦が作業をしておられます。

 

 

人形筆の製造はすべて手作業。作業を見学させて頂きました。

 

 

近郊で採れる篠竹で作った筆軸を左手で回しながら、鮮やかな色の絹糸を巻き付けていきます。素早く巻きつける手は一定のスピードでブレることはなく、次第に模様が現れてきます。実に細かい作業で、職人技のすごさを感じます。
「ものすごく根気がいるのでね、一日に数本しか作れません」とご主人。
模様は、市松、青海波、うろこ、矢がすりという4種類がベースだそうですが、模様や糸の色の組み合わせを変え、多彩な柄が生み出されています。
「同じ模様でも、竹の太さや巻き手のセンスで仕上がりは変わってくるので、同じものは一本もないんです」と奥様。

 

ぴょこんと飛び出す人形は、一つ一つ顔と着物を描き、ニスを塗ります。

 

 

 

そして、人形に糸で針金と重りを結び付けると、からくりの仕掛けになります。
最後に、筆の穂先を差し込んで、人形筆が完成。

 

 

 

「見た目が可愛いと有馬温泉の土産として買って下さる方が多いです。もちろん子宝祈願で購入される方もたくさんおられて、子どもができましたと嬉しい報告を頂くこともあります。ぴょこんと飛び出すので、妊婦さんは安産祈願で購入されて、無事に生まれた後は、この筆で命名書を書かれるそうですよ」。

 

 

素敵なストーリーですよね。
ちょうど今日遊びに来る友人夫婦が間もなく出産なので、私もプレゼントに購入。ご主人に聞いた話と一緒に贈りたいと思います。
人形筆は1本3,300円。人形筆と細筆の2本セット4,900円。

 

 

千利休も愛用した、有馬籠

 

 

次にご紹介するのは、「有馬籠」。
こちらの歴史も400年ほど前の安土桃山時代にまで遡ります。
我が家が営む旅館「高山荘 華野」でも、「有馬籠」の花器に入れて花を飾っています。先代や先々代が好んで集めた品なんですよ。

 

 

「有馬籠本店」5代目籠師の轡(くつわ)豊さんにお話を聞きました。
実は「有馬籠」の伝統技法を受け継いでいるのは現在、轡昭竹斎を筆頭とする「有馬籠本店」1軒のみです。

 

 

「京都・東本願寺に所蔵されている「顕如上人貝塚御座所日記」に、「天正13年(1585年)9月13日、有馬に入湯した顕如上人が、豊臣秀吉公の正室北政所(ねね)に有馬籠を贈ったと記されています。
豊臣秀吉が有馬で茶会を開いた際に、そこに招かれた千利休が有馬籠に目を留め、茶道具として愛用し始めたといわれています。
そのため「有馬籠」というと、茶道具としての花器や、特定の品を指すと誤解されがちですが、有馬籠の職人が編んだ品はすべて「有馬籠」なんですよ」。

 

 

作業風景を見せて頂くと、細い竹ひごを流れるような手つきで編んでおられます。
使用するのは基本的に、色つやが良くなめらかで、強度も程よい上質な「真竹」。質の良い竹が周辺でたくさん採れたことが、有馬籠の隆盛に繋がったのだとか。
ウチの旅館にある有馬籠もそうですが、年月を経ることで、また違った美しい色合いに変わっていきます。

 

 

 

「竹は誰でも編めます。難しいのは、目がキレイに整っているか、目が真っすぐ上がっているか。そういった単純なことが、一番難しい。
有馬籠は一人ですべての仕上げをするので、職人の技量がよくわかります。
ただ、有馬籠の一番の特徴は実用性ですから、技巧の凄さを主張するようなデザインは作りません。“名脇役”であることが大切。
例えば花器なら、花が最も映えるように、さらにはどんな花でも美しく見えるように作る。ざるなら、1秒でも早く水が切れるように編む。そういう思いで作っています」。
職人さんのこういった気概や心意気が、何百年も続く伝統文化を支えているのだと感じます。

 

 

 

轡さんは、伝統技法を守りつつ、常に新しいデザインを考案することにも余念がありません。
店内には、繊細な作りの花器や籠に加え、カトラリーやインテリア雑貨など、現在のライフスタイルに合わせた商品もたくさん並んでいます。
写真は最近の人気商品で、竹のお弁当箱6,000円、ペットボトルカバー4,180円、有馬籠伝平弁当籠16,500円。
本店の向かいに工房があり、運が良ければ製作風景を見学することもできます。

 

 

人形筆と有馬籠は、どちらも兵庫県の伝統工芸品に指定されていて、有馬温泉でしか購入できないものです。
その地に綿々と受け継がれてきたモノづくりに触れ、伝統をお土産に持ち帰る。
きっと有馬温泉の旅がより思い出深いものになると思います。

 

 

DATA:
◇ 灰吹屋 西田筆店
兵庫県神戸市北区有馬町1160
TEL:050-7125-1393
営業時間:10:00 – 16:00
定休日:水曜・木曜
http://arimahude.com/

 

◇ 有馬籠本店
兵庫県神戸市北区有馬町1049
TEL:078-904-0364
営業時間:10:00 - 17:00
定休日:水曜
https://arimakago.jp/

 

※記事中の価格はすべて税込みです。

 

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【HYOGO!ナビ WEBサイト 関連ページ】
有馬のスポット情報はこちら

 

掲載日:令和4年7月15日

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