日本遺産ストーリー「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」24番札所
聖徳太子が創建したといわれる中山寺。安産の観音様としても名高く全国から参拝客が訪れますが、この春日本遺産に登録された「西国三十三所観音巡礼」の24番札所としても人気です。
1300年前、日本最初の巡礼である「西国三十三所観音巡礼」は、徳道上人という僧侶が冥途で閻魔大王に出会ったことに由来するといわれています。「生前の悪行により地獄へと堕ちるものが多い。現世に戻り、観音の教えを広め、巡礼に導きなさい」と宝印と誓いの文書を託され、生き返った徳道上人。閻魔大王との約束である宝印を33寺院に配り、すべての寺院の宝印を集めると極楽浄土への通行手形になると示されました。中山寺には、この巡礼誕生のきっかけとなった閻魔大王を祀る「閻魔堂」があります。柵の向こうには、眼光鋭い閻魔様が・・・
パワースポットや御朱印ブームもあり、いまやトレンドとなっている寺社巡りですが、当時はなかなか浸透せず、この「西国三十三所観音巡礼」は一度廃れてしまいます。その間宝印を隠したといわれている場所が、境内にある中山寺古墳「石の櫃(いしのからと)」。こんなところに古墳があるなんて!観音巡礼が後に花山法皇によって再興されるまで、ここで機が熟すのを待つことになります。
本堂には「西国三十三所観音巡礼」草創1300年を記念し、中山寺ご本尊の十一面観音様の左手と結ばれている「御手綱」も、特別に置かれています。(2020年末までの期間限定)。この日は残念ながら御開扉日(※)ではなく、ご本尊様のお姿は拝見できませんでしたが、「御手綱」に触れ、改めて、清く正しく生きていこうという清々しい気持ちになりました。ちなみに、ご本尊の左右に二体の十一面観音様がいらっしゃるそうで、三体合わせて三十三面!
(※毎月18日)
ちなみに、御開扉日に拝顔できるのは、このような十一面観世音菩薩様です。
中山寺には、西国三十三所の地からお砂が集められ、それぞれの観音様とそれにまつわる逸話の掛け軸を心静かに拝しながらお砂を踏む「西国三十三所観音霊場お砂踏み」もあります。(有料500円)
お寺には珍しくエレベーターやエスカレーターも充実しています。また、広い境内には展望スペースも多く、忙しい日常を忘れ、ゆっくりと景色を見ながら静謐な時間を過ごすことができます。
DATA:
中山寺
http://www.nakayamadera.or.jp/
〒665-8588
兵庫県宝塚市中山寺2丁目11-1
TEL 0797-87-0024
日本遺産「1300年つづく日本の終活の旅~西国三十三所観音巡礼~」